演奏会に行くときは・・・   

 まったく自慢にならないのですが・・・方向音痴です。そんな私が、東京の初めてのお宅に一人で行くことになりました。いつもはK場さんの50㎝後ろをコバンザメのようにくっついてゆらゆら泳いでいれば「ハイ、目的地ですよ♪」になったのに、今回はそうはいかない。

 リフォーム後のお宅に絵を美しく取り付けてほしいと依頼されました。遠いので普段はやんわりとお断りする案件なのですが、相手は20年来の声楽の恩師。おまけに夜にはサントリーホールでのコンサート(フィンランドのハンサムな指揮者と、フィルハーモニア管弦楽団、ピアノは辻井伸行さん)に連れて行ってくださる!というニンジンを目の前にぶら下げられては断れない。俄然そっちが私の中でメインになります。行きま~す!!

 お仕事ですから遅れるわけにはいかない。心配なK場さんが、仙台駅から世田谷のH様宅までの乗り継ぎ情報を携帯に入れてくれ、口頭でのレクチャーもしっかり受けました。「東京駅で10分で乗り換えて、大手町で7分で乗り換えて、三軒茶屋で8分で・・・」フムフム… フムフム…
そして当日、のっけから新幹線が遅れてワタワタしてしまいました。
 とは言え、こう見えて仕事はできる‼ので、パキパキと作業を済ませてとても喜んでもらえる仕上がりとなり、ちょっぴり得意げだった私でありましたよ ここまでは…

 「30分後に出発よ♫」と恩師は着替えを始める。さっきまでのユニクロおばさんが、あれよあれよという間に麗しいマダムに変身
ヤバイ! 仕事に気を取られて着替えを忘れてきた私。あちゃ~😖 天下のサントリーホールにはかなりそぐわない恰好。そのうえ作業の後なので、ニットのワンピースがヨレっとしている。何より最悪なことに足元はもっこりブーツだった⤵
透明人間になりたい気持ちでホールへ。1月だというのに袖のないドレスやら和服やら何とも麗しい皆様方。そして当然にように華奢な靴を履いてらっしゃる。
 若かりし時、「なぜ音楽会に正装していくのか」というエッセイを読んだのを覚えています。舞台の演奏者たちは来場してくださったお客様のために感謝の意味を込めて正装する。見に行く側は演奏者への期待と賛美を込めて正装していくのだ ━ という内容だったように思います。

  その夜のコンサートはとても素晴らしかった。19時から21時半までたっぷりと酔いしれるほどに素晴らしかった。穴があったら足だけでも隠したい恥ずかしさに最後までさいなまれながら、私は我を忘れて拍手を送ったのでした👏
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