ヤマカガシの着物にモスラの帯

 その日は、花座の提灯協賛者限定の落語会にご招待を受けておりました。コロナ禍の中ではありますが、三遊亭小遊三師匠がいらっしゃる200名の会とあって、私もK場さんもはりきって着物でスタンバイ

 そしたらですよぉ―、画廊に来る方来る方 皆様こぞってK場さんを褒める。「あらーっ、K場さんきれい」「あらーっ、K場さん似合う」「素敵ですねー。髪もアップでとても上品

・・・フンッどうせ私はいつものおかっぱ頭・・・誰も見向きもしてくれない。私だっていつもよりちょっと良い着物を着てきたのに… 人間ができていないので、正直寂しい…面白くない…

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 家に帰ってから家族に聞いてみましたよ。「今日の着物、変だったかなぁ?」
夫「いや、似合ってるよ。いつもよりヌメヌメしていて、昔裏山によくいたヤマカガシだっけか?渋くていいんじゃない
私「・・・ヤマカガシ・・・ヘビ・・・(母の泥大島紬)」
夫「その黄色い帯もモスラの羽みたいでかっこいいよ
私「・・・モスラ・・・(更紗の帯)」

 家族は私の地味な江戸町民風な着物を見慣れているので、光沢がある分良いとさえ思っている様子なのですが、よりによってヤマカガシ、土着のヘビですかトホホ

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少しばかり落ち込んでいたので、昨日私には珍しく華やか(青緑っぽい地に紫の小花)な小紋を着てみました。まず、K場さんがポカン「そんなの持ってましたっけ⁉」フォローのつもりだったのでしょう。優しいO恵ちゃんが「似合わないわけではないです。見慣れてないって言うか…らしくないだけで、似合ってますよ(あわあわ)」一番居心地が悪いのが私自身。どうも落ち着かない。何か気恥ずかしいのです。

 友達が着ていてとても良く似合っていたのを、頼んで譲り受けた着物。肌なじみも良いのですが…どうも落ち着かない…落ち着かないのです。

で、今日はやっぱりいつもの江戸町民風。O恵ちゃんはすっきりとした笑顔で「良い帯ですねー。お似合いです」と、誰も締める人がいなくて友人たちの間を流れついてきた深緑色の帯を素直に褒めてくれました。私も落ち着きます

 大好きなガントナーさんの静かな風景画に囲まれて、格子柄の黄八丈に深緑の帯を締めた私のいる空間は、決してベストマッチとは言えない情景だと思うのですが、うちのスタッフやお客様方、そして私自身が妙に落ち着くのだから不思議なものでありまする。今日の私はインドコブラ?かしらねぇ

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