三国志
十三回忌も過ぎたので、そろそろ父の本を整理しようかな〜と、真面目に実家の本棚に向き合ってみた。歴史物が好きな人だったので、司馬遼太郎、海音寺潮五郎・・・さんらの男臭い作品が並んでいる。特に好きだったらしく、吉川英治さんがずら〜ぁ〜っと。
「あ
懐かしい
」と三国志の一巻を手に取ったのが運の尽き。読み返してみたら新鮮で止まらなくなり、整理するのは止めにした。
」と大目玉を食らった。




15歳つまり高校受験生の年、私は一生で一番本を読んだように思う。夏休みを前に部活動がなくなり、受験生とあって家の手伝いも免除され、塾になど行っていなかったので、時間がものすごーく余った・・・ というか、受験勉強をしなければいけないのだが「◯◯しなければイケナイ
」というのがどうにもこうにも苦痛で、お金も無いし外出する自由も無いので、そーっと父の本棚から拝借した戦国物を、勉強しているふりをしながら読みふけった。
山岡荘八「伊達政宗」全8巻、海音寺潮五郎「天と地と」全3巻、吉川英治「新・平家物語」全6巻、「三国志」全3巻、そして「水滸伝」に手をかけたところで父に見つかり、「いったいお前は何をやっているんだーっ

そう、私の15歳の楽しみは、軍馬と刃と血しぶきと武家の栄枯盛衰の物語と共にあったのですよ。
ざっくり40年を経た今、三国志を読み返してみると全く違った印象で、あの当時胸をときめかせ憧れた勇猛豪胆で、“素敵
”と勘違いしていた武将達はどこにもいない…


七尺以上(つまり、2mを超える)の身長で胸まで髭がもしゃもしゃあって、八十斤(48kg)もある刃や矛を片手で振り回す ありえない大男達が、3ページに一回は殺し合い、10ページに一回ぐらいは一万人以上の死者が出て(川が赤く染まるくらい…)、首は飛ぶは胴は叩き斬るは、挙げ句の果てには目に刺さった矢を目玉ごと引き抜き、自分でムシャムシャ食べちゃったりする。
ギェ〜ッ
想像力豊かな私にはもう考えられないくらい凄まじい。怖い、気持ち悪い…



意地っ張りなので(15歳の自分に負けたくない
)、とにかく最後まで読もうと夜な夜な頑張っている。半分くらいまで読んだが、どのくらいの登場人物が出てきて、どのくらい死んだか分からない。女子中学生(だった自分)なんかに負けたくないから必死だ。

最後の章を読み終えた時、どんな感想を持つか自分でも楽しみだが、当分我が家の食卓に赤身のお刺身やジューシーなお肉料理が並ぶことはないだろう。スイカも微妙だなぁ…
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